2018年3月2日金曜日

シリア東部で継続される「イスラム法による統治」


拙著『イスラム国の論理』でも記したように、イスラム国の最大の売りは自分たちこそが最も正しく「イスラム法による統治」を実践する主体であるという点にあります。

彼らが日々、映像や画像を公開する主たる理由は、それを広く世界にアピールするためであり、シリアとイラクで領土を大幅に減らした今も、彼らは細々とそれを続けています。

シリアにおけるイスラム国の領土は、下の地図の濃いグレーで示された部分です。


昨日、シリア東部のものとして公開された画像には、「イスラム法による統治」の今が映し出されています。

こちらは裁判所の様子。


イスラム法に基づいて裁判が行われているというのは、「イスラム法による統治」の基本です。

こちらは喜捨センターの様子。


喜捨はイスラム教徒に課せられた5つの重要な義務のうちのひとつです。


貧しい人には喜捨を財源として食糧などが配布されます。

こちらは宗教警察。街で見つけた「イスラム法に反するもの」を注意して回るのが宗教警察官の仕事です。



こちらは検問の様子。


こちらは検問などを担当する警察官たち。


こちらは宣教センター。市民を集めてイスラム教についての勉強会などを開催します。


これらの写真からは、現在のイスラム国による統治は、ラッカやモスルを統治していた全盛期と比べると格段に小規模だということ、また資金難であろうことが窺えます。

しかしどれほど苦境にあろうとも、「イスラム法による統治」を続けているという点こそが、彼らのレゾンデートルなのです。

先ほど発行された週刊誌においてもイスラム国は、HTS(アルカイダ系反体制派武装組織)のシリア政府やロシアに対する「弱腰外交」を批判し、その失敗をあげつらった挙句、自分たちはあくまでも神の法にのみ従うと決意を新たにしています。

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