2018年4月19日木曜日

タイにイスラム国拠点構築計画:マレーシア当局が追うタイ人イスラム国戦闘員

マレーシア当局が指名手配をして追っているタイ人イスラム国戦闘員はタイ深南部にイスラム国の拠点を築こうとしている、とマレーシア治安当局筋がチャンネル・ニュース・アジアに語りました

この人物はAwae Wae-Eya(読めない…)という名の37歳のタイ人。


以前こちらに記したマレーシアでのイスラム国細胞掃討作戦の際逃走した4人のうちの1人で、マレーシア諜報筋は彼こそがこのテロ細胞のリーダーだと見ています

Awaeはタイ深南部からTelegramやFacebook経由で合計9人のマレーシア人の勧誘に成功し、マレーシアのジョホールにある教会や寺、フリーメイソン施設への攻撃の他、マレーシア警官を誘拐してタイ深南部に連れ帰りそこで殺害する計画も立てていたとのこと。

マレーシア当局は、Awaeはイスラム国指導者であるカリフ・バグダーディーに忠誠を誓っておりシリアとも関係を持っていて、タイ深南部に拠点を構築して世界中のテロ組織からジハード資金を調達することをめざしていると語っています。

マレーシア当局はAwaeはすでにタイ深南部に戻ったとみているものの、タイ当局は公式のコメントを出しておらず、取材に応じたタイ軍の大佐も「Awaeはイスラム国ではないと思う」と述べるにとどまっています

こちらに記したように、タイ深南部にはイスラム教徒が多く住んでおり中にはタイからの独立を目指して武装闘争を展開する一派もいます。

今年1月にバイク爆弾で3人が死亡したのにみられるよう、2004年からこれまでにタイのムスリムによる暴動や武力闘争による死者は7000人を超えています。

しかし基本的に彼らが目指しているのは民族独立であり、イスラム教徒ではあってもイスラム国のようなカリフ制再興といった超国家的、普遍的イデオロギーを掲げているわけではないとされてきました。

ゆえに、もしAwaeが本当にバグダーディーに忠誠を誓ったイスラム国戦闘員でタイに拠点構築を目指しているならば、これは非常に大きな意味を持ちます。

東南アジアのイスラム過激派の専門家は、タイ深南部のイスラム武装勢力は民族主義的であって基本的にイスラム国のイデオロギーを共有してはいないとした上で、タイ治安当局はこれまでに多数のイスラム国の旗やビデオなどを押収している他、パッタニー県からのイスラム国関連サイトへのアクセス数が非常に多いことなどを指摘しています。

既述のようにだんまりを決め込んでいるタイ政府ですが、タイ首相は奇しくも今日、マレーシアとの間のナラティワート国境に今月末までに「安全地帯」を設けると発表しました。

タイ政府の認識は、タイ深南部の問題はあくまで「国内問題」でありグローバルなテロとは一切関係ないというものであり、その姿勢は一貫しています。

プラウィット副首相もこの「安全地帯」は政府と和平交渉を行っているMARAパッタニーの双方にとってよいものだ、と会見で述べており、これとAwaeの案件とを関連付けてはいません。

一連の事件をマレーシア当局の発表から見直すならば、Awaeという37歳のタイ人ムスリムはインターネットを使ってマレーシア人9人(うち2人はシンガポール在住)をリクルートしジョホールでイスラム国テロ細胞を構築することに成功し、フィリピン・イスラム国のリーダーの側近も仲間に入れることに成功し、資金集めや武器調達、テロ攻撃の作戦を具体的に練るところまでは成功した、ということになります。

繰り返しますが、Awaeは現在も逃走中です。