同使節は、シリアではイスラム国の大半は滅ぼされたというもののまだ残党がおり、ヌスラや東トルキスタン独立運動といった別のテロ組織も残存しているため、テロとの戦いの終焉までにはまだ時間がかかるとしつつも、戦後復興のための支援を継続していく、と述べています。
シリアのアサド政権がロシアとイランから支援を受けていることは知られていますが、実は中国も一大スポンサーです。
先日のニューズウィークの記事にもあるように、本質的にアサド政権というのは世俗的性質が強いため、共産主義を掲げる中国と親和性が高いのです。
こちらのディプロマットの記事にあるよう、中国は1988年にM−9ミサイルをシリアに売って以降、一時中断された時期があるとは言え、現在に至るまでシリアに対する最重要武器供給国のひとつとなっています。
2017年9月にシリアの外相とニューヨークで会談をした際、中国外相は「将来における二国間の重要な協力関係」について既に言及していました。
そして今、既出の対シリア使節が戦後復興事業への参加を明確に表明しているということは、シリアも確実に一帯一路政策の中に取り込まれているということを意味します。
内戦終了の兆しが見え始めたとたん、こうした発言が飛び出すだけでもじゅうぶんに「すごい」のですが、既出の使節は「反体制派とも関係を継続させている」と述べており、その無節操さと実利だけをひたすら追求する姿勢にも「すごい」と思わされます。
「すごい」のは中国の政府だけではありません。
中国・アラブ交流協会なる組織の副会長によると、彼のところには毎日のように中国企業から「シリアのつてを紹介しろ」という催促の電話があるそうです。
同副会長によると、シリアは国全体で「再建」を必要としており、中国企業はそこに「巨大なビジネスチャンス」があると見なしているとのこと。
在中国のシリア大使によると、シリアでは5000人のウイグル人戦闘員がテロ活動を行っており、中国はそれに強い懸念を抱いているとのこと。
アサド政権がシリアでウイグル人テロリストを成敗し、中国が破壊された国土の再建を担う、というウィン・ウィンの関係が既に築かれつつあります。