イランでは、2017年12月末から各地で反政府デモが発生しています。
当局が、デモを呼びかけるツールとして使用されていたtelegramやinstagramなどへのアクセスを遮断した後、事態は収束に向かいつつあるものの、これまでにデモ参加者20人以上が死亡、拘束された人は8000人以上にものぼるとされています。
そんななか、イラン人たちがTwitter上で「私たちが失ったものと得たもの」(
イランは1979年のイラン・イスラム革命により、シーア派イスラム教の法学者が統治を司る「イスラム共和制」なる制度を掲げる国家となりましたが、それ以前は世俗的な王政が敷かれていました。
「私たちが失ったものと得たもの」というハッシュタグをつけた投稿により、イラン人たちはイスラム革命によって失ったものと、そのかわりに得たものとを比較しています。
たとえばこちら。
女性の髪型や服装が一変したことを示す画像です。
革命前は思い思いの髪型をし、カラフルな洋服で着飾っていた女性たちも、革命後はチャドル一色です。
こちらも女性たち。
革命前はナースとしてミニスカを身につけて働くのも普通でしたが、革命後は一変。
家族写真も随分変わりました。
海辺の光景も変わりました。
パリ・マッチに掲載されたようなきらびやかな王室の姿は、もうありません。
お金の価値もものすごく変わってしまいました。。。
大気汚染もひどくなりました。。。
パスポートも変わりました。
イラン国民は、現在のイスラム共和制に批判的な人ばかりではないはずです。
体制に不満があっても、表立ってそれを表明しないほうが得策だと考えている人のほうが多いからこそ、反体制デモが(少なくとも今は)この程度の規模にとどまっているのだとも言えます。
これらの投稿者たちも、あからさまに体制を批判しているわけではありません。
彼らは、「あの頃はよかったなー」と懐かしむ気持ちをちょっぴり表に出しただけです。
しかし人々の「気持ち」というものは、時に非常に大きな社会的うねりを生じさせます。
イランに王政時代を「あの頃はよかったなー」と懐かしむ人々がいる一方で、エジプトにはムバラク時代を懐かしむ人々がいて、イラクにはフセイン時代を懐かしむ人々がいて、リビアにはカダフィー時代を懐かしむ人々がいます。
独裁政権が倒されたからといって安定するわけでも、平和や発展がもたらされるわけでもないというのが、中東の常です。
★ホウドウキョクの飯山陽のページにも転載されています。
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