2018年1月30日火曜日

スカーフ着用強制に抗議する女性たち:イラン反体制デモの一側面


「スカーフを外して、スカーフ着用強制に抗議しよう!」

今イランの街角には、自主的にスカーフを外し、それを棒に結びつけて掲げる女性たちが、出現し始めています。

例えばこちらの二人。テヘランで撮られた写真です。
 バイクに乗った男性が振り返って見ています。

こちらの女性は笑顔です。

 こちらの写真(もとは映像)は、イスファハーンで撮られたものです。
パンク系の女性もいます。
こちらも、男性が振り返って見ています。

先日記事に記したように、イランでは女性がスカーフを着用せずに外出することは違法行為です。

たとえば、こちらは昨日、テヘランで抗議行動を行ったナルギス・ホセイニーという名前の女性ですが・・・
この写真が撮られた少し後に、警察に逮捕され、連行されたそうです。

この抗議行動を最初に行ったのは、ヴィダ・モヴァヘドという31歳の女性です。
 彼女は昨年12月27日に逮捕・連行されて以降、消息不明になっています。

彼女がスカーフ着用の強制に反対すべく、白いスカーフを取り外して掲げたのがテヘランのエンゲラブ通りだったため、Twitter上では「エンゲラブ通りの女の子たち 」というハッシュタグつきで、同様の抗議行動をする女性の写真や映像が投稿されています。

スカーフ強制への抗議活動は、イランで昨年末から続いている反政府デモの一環と捉えられています。

当局がtelegramやinstagramへのアクセスを遮断して以降、大規模なデモは収まりつつありますが、彼女たちのように個人あるいは小規模のグループで行う抗議活動は継続しています。

イスラム教徒女性とスカーフというのは、非常に興味深いモチーフです。

今、イランの街中で勇気を出してスカーフを外した女性たちにとって、スカーフ着用は不自由の証です。

他方、例えばフランスのように、公共の場でスカーフを着用することが禁じられた国に住むイスラム教徒女性にとっては、スカーフ着用は自由の証です。

イランで抗議活動をする女性たちにとって、スカーフはイスラム教徒として着用義務があるため主体的に着用するものではなく、政府に命じられているため嫌々着用するものです。

他方、フランスの公共の場でもスカーフを着用したい女性たちにとって、スカーフはイスラム教徒して着用義務があるにもかかわらず、政府に禁じられるため着用することができないものです。

現代社会におけるイスラム教徒女性とスカーフは、宗教というよりは政治的色彩を強く帯びたモチーフなのです。

ホウドウキョクの飯山陽のページにも転載されています。

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