2018年3月15日木曜日

イギリス史上最悪の少女虐待スキャンダルとイスラムフォビア

先日イギリスのサンデー・ミラー紙が「イギリス史上最悪の未成年者虐待スキャンダル」として、テルフォードにおいて40年にわたり1000人にのぼる少女が強姦、殴打、売春や薬物摂取の強要といった被害にあってきただけでなく、殺されたケースもあるというのに、当局は捜査を怠ってきたとするスクープ記事を出しました。

テルフォードではしばしば少女に対する性的虐待事件が発生しており、2007年から2009年にかけておよそ100人の少女に強姦等をしてきたとして、2013年「アジア系」の男7人に有罪判決が下されました。


イギリスのシンクタンク・キリアムの調査によると、 2005年から17年までにイギリスで未成年者虐待の容疑で起訴された人物のうち84%は「アジア系」だとのこと。

「アジア系」とぼやかされてはいるものの、同事件の犯人らの名前を見るとムハンマドやアリーなどイスラム教徒であることは明らかであり、パキスタン系の移民であるとされています。

サンデー・ミラーのスクープは、テルフォードの少女虐待はこれまで明らかにされてきたよりもずっと古く1980年から現在まで継続する大問題であり、犯人集団も大規模なら被害をうけた少女の数も1000人を下らないとするものです。

同紙が問題視しているのは、評議会や警察といったいわゆる「当局」も、ソーシャルワーカーなどの現場スタッフも、この件を少なくとも1990年代から知っていたのに、「人種差別」や「イスラムフォビア」「ヘイト」だと批判されるのを恐れて、捜査も介入もせずに放置してきた、という事実です。

サンデー・ミラーの告発記事をうけてイギリスのメディアは同事件を次々と報じましたが、国営放送BBCだけは全く同事件に触れず、インターネット上で無視するつもりかと非難が殺到した後、一応記事を掲載したものの、その内容はテルフォード警察署長の「こんな大昔の件まで引っ張り出してきて被害者数1000人以上とセンセーショナルにとりあげるなんて大げさだ」という発言を重視したもので、これが更なる炎上を引き起こしました。

イスラム教徒による大規模性犯罪について、当局がそんなものは全く存在しないかのようにスルーするといえば、2015年12月31日から16年1月1日にかけてドイツのケルンで発生した女性に対する集団性的暴行事件が思い出されます。

ケルン警察は当日のケルンは「おおむね平穏だった」と発表して同事件を隠蔽したのですが、これも犯人集団のほとんどがアラブと北アフリカ出身のイスラム教徒であったためだとされています。

しかしイスラム教徒移民の受け入れは完全なる「正義」であると胸をはって移民政策を進めてきたドイツですら、メルケル首相が今年に入り「ドイツには確かにドイツ人立ち入り禁止地区がある」と認めたように、治安悪化の問題は隠しきれないレベルに達しています。

これまで、イスラム教やイスラム教徒についての発言は常に好意的でなければならないというのが、いわゆる「リベラル」で「民主的」な世界における共通ルールでした。

たとえ批判的でなくとも、わずかでも「イスラム教絶賛」の度合いが不足していると判断された発言は、たちまち「ヘイトだ!」「イスラムフォビアだ!」と批判される傾向は日本にも根強くあります。

拙著『イスラム教の論理』に対しても、一部からその手の罵詈雑言が浴びせられています。

一方で、イスラム教の論理は西洋の論理とは異なるという認識を持たぬままでは自由や人権という私たちの価値自体が脅かされる、という拙著の趣旨に賛同の意を示してくださる方もいます。

池内恵さんが原稿を読み帯に推薦文を寄せてくださったのに加え、3月11日の読売新聞朝刊に苅部直先生による拙著の書評が掲載されたのは僥倖であり、わずかながらも光を見出した気がしました。

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