2018年3月7日水曜日

子どもにテロリスト養成教育を施していた男に有罪判決:ロンドン@イギリスの事例

イギリスの裁判所は先週、イスラム教徒の子ども達に対しテロ攻撃を実行する「イスラム国戦闘員」に仕立てるための「教育」を施していたとして、オマル・ハッキー容疑者(25歳)に有罪判決を下しました。


イスラム国を支持するハッキーは教師という立場を利用して11歳〜14歳の子ども達にイスラム国の斬首映像を見せたり、ロンドンで発生したテロ攻撃を模して「ロールプレイング」での訓練を施していたりしていた、とのこと。

警察によると、ハッキーは公立学校の教師ではなく、ゆえにイギリスの教員免許も取得していない状態で、いくつかのイスラム教徒用私立学校とバーキングにあるリップル・ロード・モスクに付属する学校で教師をしており、4年間で250人ほどの生徒を受け持ち、うち110人にこのジハード戦士養成教育を施していたそうです

現在、そのうち35人ほどが脱過激思想教育を受けているとのこと。 

生徒たちには、自分がイスラム国と関係していると告げ、そのことを他言したら斬首すると脅してた、とも報じられています。

長期にわたって子どもたちを「イスラム国のジハード戦士」として養成し、最終的にはロンドンで大規模テロを実行するのが彼の計画だったようです。

ニュース解説者によると、イギリスの学校では教育の透明性を高め、かつ子どもたちを守るという趣旨で、通常教員と補助教員という2名体制でクラスを担当しているとのこと。

ハッキーは子どもたちに「イスラム教」についての学問(イスラム学)を教えていたとされますが、要するに一人で、誰にも管理・監視されない状態で、子どもたちに対し、自分が教えたいことを自由に教える空間をモスクによって与えられていたのが問題なのだ、と解説者は語っています。

モスクが子どもたちにイスラム教を教える学校を併設したり、講座を開講したりするのは、世界各国で共通しています。

そこで教師役を務めるのは伝統的に、イスラム教について一般信者よりも多く学び、多く知っているとされる人物であって、特別な資格が必要とされることはありません。

イギリスではモスクでのイスラム教育についても、公立学校と同じようにOfsted(イギリスの教育監査局) の管理下に置くべきだという議論があるそうです。

しかしイギリスの場合は「イスラム教の家庭教師」という存在も多くおり、たとえモスクでのイスラム教育を公的管理下におくとしても、家庭教師までは管理できないという問題も指摘されています。

先日フランスのマクロン大統領も、国内のイスラム教を新たな形で管理するという「宗教改革宣言」を行い、直ちに国内のイスラム教徒指導者が反発する、という事案も発生しました。

今回のような事件が実際に発生している中、イギリスやフランスがモスクやそこでの教育、ひいてはイスラム教徒とどのように関わっていくかは大きな課題です。

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