2018年3月16日金曜日

チュニジア政府はいかに反イスラム的か?:イスラム国の説くイスラム教の論理

イスラム国は週刊誌ナバアの最新版を公開しました。


ナバアは世界中のイスラム国の戦果を伝える週刊誌ですが、日本の新聞でいう社説のようなコラムも記されています。

今週号のナバアのコラムがとりあげているのはチュニジアです。

コラムはまず、チュニジアでは独裁政権打倒後、民主主義が実現され、民主的な選挙によって議会の代表者が選出され、その議会で新憲法が承認された、という経緯を説明した後、その新憲法には神以外の者による立法、神が啓示した規範に基づかない命令が含まれているのみならず、不信仰な制定法の根拠となり、イスラム教のシャリーア(神の法)の規範の改ざんを許容している、と批判します。

そして、背教者たるチュニジア政府が神の法に反して制定した法の好例として、「不信仰者たち(チュニジア政府)は神の法が禁じているイスラム教徒女性と多神教徒男性との婚姻を認めるという不信仰的法規定を制定した」件を指摘します。

コーラン第2章221節に「多神教徒男性が信者になるまでは、あなたがたの女性たちをかれらに嫁がせてはならない」とあるように、神は明示的にイスラム教徒女性と多神教徒男性との結婚を禁じています。

さらにコーラン第4章11節で相続について「男児には女児の2人分と同額」とあるにもかかわらず、チュニジア政府が男女の相続平等を定める法案を提出していること、相続以外でも「男女平等」を実現させようとしていること等を指摘し、その全てが神の法に反していると非難します。

そしてチュニジア政府は民主主義の名の下に、自分たちを選出した一般市民にこうした神の法に反する法を遵守するよう強制しているという点において、独裁政権よりなお一層悪質であると指摘します。

最後にコーラン16章106〜107節が引用されます。

そこには次のようにあります。

「神を信仰した後、不信仰に陥った者、心の中で信仰を堅持しつつ(不信仰を)強制された者は除外するが、不信仰を表明して満足する者、かれらには神の激怒が下り、厳しい懲罰があろう。これはかれらが来世よりも現世の生活を愛しているためである。神は不信仰の民を御導きになられない。」

イスラム教徒は世界のどこにいようと神の法のみに従わなければならないというのは、イスラム教の大原則です。

また、コーランで神が明示的に命令していることや禁止していることについて、それに反する解釈をしたり法を作ったりすることは、イスラム教では厳禁とされています。

これは「イスラム過激派の論理」ではなく、「イスラム教の論理」です。

イスラム教について少しでも勉強した人ならば誰でも知っている、 基本中の基本です。

このコラムにあるように、チュニジアでは2年前に男女の相続分を平等にする法案が提出されましたが、議会内に反対する声が多く、まだ成立してません。

なぜ反対の声が多いかというと、(もはや禅問答のようですが…)コーランで明示的に男の相続人の相続分は女の相続分の2倍だと定められているからです。

反対者が立脚しているのは、イスラム国が立脚しているのと同じ「イスラム教の論理」なのです。

一方相続の男女平等を求める人々もチュニジアには存在しており、 先日の国際女性デーにはそれを求めるデモも行われました


イスラム国はただ武器をとって滅多やたらに人を殺すだけのならず者集団ではありません。

彼らは常に世界の動向を注視し、分析し、いかに仲間を増やし、行動を起こさせるかについて考えているのです。

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