2018年3月13日火曜日

教育から宗教の影響を排除せよ:スウェーデンの決定とイスラム教

 スウェーデン教育相は先日、今後は男女平等や人権という「根本的価値」を支持しない者には学校運営を認めないという方針を新聞紙上で発表しました。

現政府は学校から宗教の影響を排除するという基本方針を掲げており、今回の決定はその方針に従ったものだとみられています。

スウェーデンにおける学校は男女平等を積極的に促進し、生徒たちがジェンダー・アイデンティティーとは独立した形で能力や関心を開発させることを認めなければならない、と同相は記しています。

さらに、スウェーデンの子どもたちは、たとえ宗教組織によって設立された学校においてであろうと、直接的あるいは間接的に宗教活動を強制されることは絶対にあってはならないとし、全ての教育は宗教の影響から完全に自由でなければならないという基本方針を強調してもいます。

スウェーデンには現在60以上の宗教学校があり、そのほとんどはキリスト教系で、イスラム教系の学校は11あるとのこと。

この決定は、ソマリア系イスラム教徒で2010年から2014年までスウェーデン議会の議員も務めていたワベリAbdirizak Waberi氏が、ボロースで新たなイスラム教系学校設立を目指していることと関係していると言われています。


ワベリ氏は政治活動を開始する以前は、スウェーデンのヨーテボリにあるイスラム教系小学校の校長でした。

同校ではイスラム教の教義についての授業を週に2コマ課しており、これは他の学校よりも多いだけではなく、男は4人妻を持つことが許されているがその逆は許されていないといったイスラム教的価値について教えているとか、男子生徒は100%が満点で卒業しているのに女子生徒は71%しか満点をもらっていないという同校の実態はスウェーデンの他の学校と比べて明らかにおかしいなど、しばしば批判の対象とされてきました。

ワベリ氏自身も、イスラム教徒の男が4人妻を持てることや、イスラム教徒の男は異教徒と結婚できるが女はできないことなどは、コーランに記されているのだ、とインタビューで答えています。

ワベリ氏はスウェーデン・イスラム協会や、スウェーデン・イスラム教学校組合、スウェーデン・イスラム教徒政治フォーラムといったスウェーデンの名だたるイスラム教組織の有力メンバーであるだけでなく、過去にはヨーロッパ・イスラム組織連盟の副会長を務めたこともある、非常に影響力のある人物です。

過去の記事で示したように、ヨーロッパにおいてこれまではほぼ放任されてきた宗教系の私立学校を国が管理すべきだという議論は、既にイギリスでも起こっています

というのも、イギリスではイスラム教学校において教師が生徒をジハード戦士に育てるべく数年間にわたって教育していた罪で実刑判決を受ける、という深刻な事案が既に発生しているからです。

「イスラム教の論理」と「西洋の論理」が異なることは、イスラム教徒住民が多く暮らすヨーロッパ諸国では、様々な場所で目に見える形で健在化し、社会問題化あるいは政治問題化しているのです。

イスラム教と教育の問題については、日本も他人事ではありません。

日本でも、イスラム教組織やモスクなどがイスラム教徒の子女にイスラム教の教義や価値について教える学校や教室を多く運営しています。

また、日本の学校で教えられることはイスラム教の価値に反するとして、自分の子どもが学齢期になるとインドネシアやパキスタンなどに住まわせ学校に通わせる在日イスラム教徒も少なくありません。

イスラム教と教育という問題は、単に給食をどうするか、という問題ではないのです。

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