2019年10月27日、アメリカのトランプ大統領によってイスラム国指導者バグダーディーの死が発表されました。
トランプ氏はバグダーディーの死で「世界はより安全になった」と主張しましたが、本当にそうなのか、彼はどのような立場にあり、彼の死はイスラム国や世界にどのような影響を与えうるか、トルコはテロ支援国家なのかといった問題については、FNNに寄稿したこちらの記事をご覧ください。
それとは別に、どうしても記しておきたいことがあったため、久々にブログに書くことにしました。
それは、バグダーディーの死により、イスラム過激派テロリストへの称賛を隠しきれないメディアや専門家の「本音」が露呈された、という事実です。
まずはこちら、ワシントン・ポストの記事です。
バグダーディーのことを「厳格な宗教学者」と描写しています。
テロリストでも過激派でも大量殺人犯でもレイプ犯でもなく、「厳格な宗教学者」です。
日本人2人を含む多くの人を残虐なやり方で斬首したのも、ヨルダン人パイロットに生きたまま火をつけて焼き殺したのも、多くの同性愛者を高い建物から突き落として処刑したのも、ヤズィーディー教徒の女性たちを性奴隷にしたのも、キリスト教徒をズィンミーという地位に貶めたのも、「不信仰者」や「背教者」数万人の命を奪い、家族を奪い、故郷を奪い、破壊し尽くしたのも、全部イスラム国です。
ワシントンポストがその指導者であるバグダーディーを「厳格な宗教学者」と讃えるのには、理由があります。
ワシントンポストは、イスタンブールでサウジの手により殺されたカショギがコラムを書いていた新聞です。カショギは、サウジやエジプトがテロ組織指定しているムスリム同胞団と深いつながりのあった人物です。
ムスリム同胞団は、民主主義をツールとして利用することによってイスラムによる世界征服という目標を達成すべく活動している世界最大のイスラム組織です。
こうした動きは「政治的イスラム」と呼ばれ、ムスリム同胞団の現在の最大の支援者であるトルコのエルドアン大統領がその急先鋒です。
ワシントンポストはカショギ殺害後、カショギの遺志を継いだ報道を続けると宣言しました。
ムスリム同胞団同様、イスラムによる世界征服実現を目指し「立派に殉教」したカリフ・バグダーディーを「厳格な宗教学者」として讃えるのは、カショギの遺志の継承者としてこれ以上ないほどふさわしいふるまいだと言えます。
なおトランプ大統領は、ワシントンポストをかねてより「フェイクニュース」と批判しており、先日アメリカ当局は政府機関に同紙の購読契約の更新をしないよう通告しました。
次はイギリスの、ザ・タイムズ。
バグダーディーは「有望なサッカー青年でありコーランを学ぶ学生だった」そうです。
バグダーディーの死は、ザ・タイムズにとってよほどショックだったことでしょう。
同様の記事はBBCインドにも。
サッカーのスター選手だったことだけではなく、子供や囚人にもコーランを教えていた、とのこと。
うーん、文武両道、実に素晴らしい「厳格な宗教学者(byワシントンポスト)」ですね。
次はブルームバーグ。
「無名のコーラン朗唱者からシリアとイラクを支配する主体の統治者へ」と、まあみなさん、よっぽどバグダーディーの「立身出世」にご執心のようです。
次はロイター。
バグダーディーは「転落」したということは、それ以前はよほど素晴らしい地位にあったという認識のようです。
次にパキスタンの政治家。
アメリカ大統領の発表は信じないけど、イスラム国の公式発表は信じるそうです。
最後に日本人研究者。
「社会科学に基づいたきっちりとした研究」をしないと、バグダーディーやビンラディンを否定してはいけないそうです。
また、「歴史的研究」をしないと、イスラム国やアルカイダを否定してはいけないそうです。
テロリストやテロ組織への称賛を隠しきれず、むしろ本当は絶賛したいのだが理性でどうにかそれを抑えている、といった言説は、実はメディアにも研究者にも多く見られます。
バグダーディーの死は、彼らが本音をさらけ出す契機となったという意味で、私にとっては極めて重要です。
一般に、イスラム過激派や政治的イスラムを擁護したり、それらを批判する人に対し「ヘイトだ!」とレッテルを張りその発言を封じ込めようとするメディアや人物は、左派的傾向にあります。
左派とイスラム過激派、政治的イスラムは、今ある世界の秩序やルールを全て破壊しなければならない、という信念を持っている点で一致しています。
だから西洋の左派は「リベラル」を自称しつつ、イスラム世界の「リベラル」ではなく、イスラム過激派や政治的イスラムに接近し、「ハマスやヒズボラは左派の仲間だ」と臆面もなく発言したりするのです。
その様については、中東協力センターニュースに寄稿したこちらの記事に記しました。
イスラム国やアルカイダなどのイスラム過激派やムスリム同胞団などの政治的イスラムが目標としているのは、もちろん、イスラムによる世界征服です。神の法であるイスラム法によって全世界を統治するため、彼らはジハードを続けています。
左派が今ある世界の秩序を破壊した後、何をもたらそうとしているのかは私にはわかりません。一部の人が富と権力を独占し、その他大勢を「平等」の名の下に統治するソ連のような体制でしょうか?
私はメディアや研究者の世界に深く刻み込まれたこうした破壊イデオロギーに対し、甚大な危惧を抱いています。
トランプ氏はバグダーディーの死で「世界はより安全になった」と主張しましたが、本当にそうなのか、彼はどのような立場にあり、彼の死はイスラム国や世界にどのような影響を与えうるか、トルコはテロ支援国家なのかといった問題については、FNNに寄稿したこちらの記事をご覧ください。
それとは別に、どうしても記しておきたいことがあったため、久々にブログに書くことにしました。
それは、バグダーディーの死により、イスラム過激派テロリストへの称賛を隠しきれないメディアや専門家の「本音」が露呈された、という事実です。
まずはこちら、ワシントン・ポストの記事です。
バグダーディーのことを「厳格な宗教学者」と描写しています。
テロリストでも過激派でも大量殺人犯でもレイプ犯でもなく、「厳格な宗教学者」です。
日本人2人を含む多くの人を残虐なやり方で斬首したのも、ヨルダン人パイロットに生きたまま火をつけて焼き殺したのも、多くの同性愛者を高い建物から突き落として処刑したのも、ヤズィーディー教徒の女性たちを性奴隷にしたのも、キリスト教徒をズィンミーという地位に貶めたのも、「不信仰者」や「背教者」数万人の命を奪い、家族を奪い、故郷を奪い、破壊し尽くしたのも、全部イスラム国です。
ワシントンポストがその指導者であるバグダーディーを「厳格な宗教学者」と讃えるのには、理由があります。
ワシントンポストは、イスタンブールでサウジの手により殺されたカショギがコラムを書いていた新聞です。カショギは、サウジやエジプトがテロ組織指定しているムスリム同胞団と深いつながりのあった人物です。
ムスリム同胞団は、民主主義をツールとして利用することによってイスラムによる世界征服という目標を達成すべく活動している世界最大のイスラム組織です。
こうした動きは「政治的イスラム」と呼ばれ、ムスリム同胞団の現在の最大の支援者であるトルコのエルドアン大統領がその急先鋒です。
ワシントンポストはカショギ殺害後、カショギの遺志を継いだ報道を続けると宣言しました。
ムスリム同胞団同様、イスラムによる世界征服実現を目指し「立派に殉教」したカリフ・バグダーディーを「厳格な宗教学者」として讃えるのは、カショギの遺志の継承者としてこれ以上ないほどふさわしいふるまいだと言えます。
なおトランプ大統領は、ワシントンポストをかねてより「フェイクニュース」と批判しており、先日アメリカ当局は政府機関に同紙の購読契約の更新をしないよう通告しました。
次はイギリスの、ザ・タイムズ。
バグダーディーは「有望なサッカー青年でありコーランを学ぶ学生だった」そうです。
バグダーディーの死は、ザ・タイムズにとってよほどショックだったことでしょう。
同様の記事はBBCインドにも。
サッカーのスター選手だったことだけではなく、子供や囚人にもコーランを教えていた、とのこと。
うーん、文武両道、実に素晴らしい「厳格な宗教学者(byワシントンポスト)」ですね。
次はブルームバーグ。
「無名のコーラン朗唱者からシリアとイラクを支配する主体の統治者へ」と、まあみなさん、よっぽどバグダーディーの「立身出世」にご執心のようです。
次はロイター。
バグダーディーは「転落」したということは、それ以前はよほど素晴らしい地位にあったという認識のようです。
次にパキスタンの政治家。
アメリカ大統領の発表は信じないけど、イスラム国の公式発表は信じるそうです。
最後に日本人研究者。
「社会科学に基づいたきっちりとした研究」をしないと、バグダーディーやビンラディンを否定してはいけないそうです。
また、「歴史的研究」をしないと、イスラム国やアルカイダを否定してはいけないそうです。
テロリストやテロ組織への称賛を隠しきれず、むしろ本当は絶賛したいのだが理性でどうにかそれを抑えている、といった言説は、実はメディアにも研究者にも多く見られます。
バグダーディーの死は、彼らが本音をさらけ出す契機となったという意味で、私にとっては極めて重要です。
一般に、イスラム過激派や政治的イスラムを擁護したり、それらを批判する人に対し「ヘイトだ!」とレッテルを張りその発言を封じ込めようとするメディアや人物は、左派的傾向にあります。
左派とイスラム過激派、政治的イスラムは、今ある世界の秩序やルールを全て破壊しなければならない、という信念を持っている点で一致しています。
だから西洋の左派は「リベラル」を自称しつつ、イスラム世界の「リベラル」ではなく、イスラム過激派や政治的イスラムに接近し、「ハマスやヒズボラは左派の仲間だ」と臆面もなく発言したりするのです。
その様については、中東協力センターニュースに寄稿したこちらの記事に記しました。
イスラム国やアルカイダなどのイスラム過激派やムスリム同胞団などの政治的イスラムが目標としているのは、もちろん、イスラムによる世界征服です。神の法であるイスラム法によって全世界を統治するため、彼らはジハードを続けています。
左派が今ある世界の秩序を破壊した後、何をもたらそうとしているのかは私にはわかりません。一部の人が富と権力を独占し、その他大勢を「平等」の名の下に統治するソ連のような体制でしょうか?
私はメディアや研究者の世界に深く刻み込まれたこうした破壊イデオロギーに対し、甚大な危惧を抱いています。