2014年にシリアとイラクにまたがる地域を制圧し「カリフ制」再興を宣言したイスラム国は現在、シリアで支配していた最後の拠点バーグーズ陥落の瀬戸際に瀕しています。
アメリカに支援されているシリアのクルド人を中心とする武装組織SDFに包囲されて以来、バーグーズからは多くのイスラム国戦闘員やその家族らが投降してきました。
彼らが拘留されているキャンプには世界各国から多くのメディアが取材に訪れ、15歳の時に自らイスラム国入り「イスラム国花嫁」となったイギリス人シャミーマをはじめとする、多くの「イスラム国花嫁」やその子供たちが「発見」され、報道されました。
メディアはまた、「イスラム国花嫁」のほとんどがイスラム国入りしたことを後悔したり反省したりしていないばかりか、「イスラム国は永遠なり!」「アッラーフアクバル(神は偉大なり)!」と叫んだり、「イスラム国こそ私たちの居場所。カリフ様が出て行くように言わなければ留まりたかった」と主張したりすることを、驚きをもって報道しています。
「イスラム国に行く人は洗脳されているに違いない」としか考えられない日本や西側諸国のメディアの人たちは、こうした女性たちを目の当たりにしてなお、「戦争や殺戮や飢えなど大変な目にあってきただろうに…いやー、洗脳って本当に強力」と、洗脳説から脱却できないようです。
しかし何をもって洗脳とするかについて議論しても不毛なのでしませんが、彼女らはイスラム国こそ真に正しいイスラム教の実践者なのだと信じているのです。
拙著『イスラム教の論理』にも記したように、伝統的なイスラム教の枠組み内では「イスラム国のイスラム教解釈は間違っている」と主張することはできても、それは「イスラム国のイスラム教解釈は正しい」という主張と同程度の価値しか有しません。
どのイスラム教解釈が正しいかを判断することができる人も組織も制度も、伝統的なイスラム教の枠組み内には存在しないのです。
話をシリアに戻しますが昨日、陥落間近のバーグーズの内部映像をイスラム国が公開しました。
コーラン章句を朗々と暗誦するこの戦闘員は、「なぜわずかな領土しか持たない我々を殲滅しようと世界中の不信仰国家がここにやって来て、そして我々を包囲するのか?それは我々が神の法の適用を意図したからだ!」と主張します。
世界のどこにもコーラン、神の法に基づいて統治を行う集団は我々イスラム国をおいて他にはない、そして我々は殺されたとしてもそれが勝利なのだ、と得意満面です。
彼は、自分たちは「この世(現世)の基準」ではなく「 あの世(来世)の基準」即ち、「神の基準」で生きているのだと強調します。
そして「この世の基準」では我々が殺され、焼かれたとしたら、それは我々の敗北だとみなされるだろうが、「神の基準」では我々は天国に迎えられるのであり、それは勝利なのである、とコーランを引用しつつ説明します。
全ては神の手中にあるので我々は忍耐する、この世で我々の道が閉ざされ包囲されても神への道は開かれている、勝利は神と神の使徒ムハンマドを愛する者の手に約束されている、勝利は近い、と訴えます。
このシャイフ風の人も、「我々は神の法(シャリーア)による統治を行っているからこそ攻撃されているのだ」「いくらここで我々の領土が狭まろうと神の勝利は近い」と主張します。
この覆面戦闘員も、「我々はこの戦闘で敗北しても勝利する。もちろん勝利しても勝利である。だから恐れるな。飢えや欠乏を祝福せよ。神は信仰者に勝利をもたらす」と呼びかけます。
バーグーズ内部は車やバイクが行き交い、ベビーカーを押す女性や子供の姿も見られます。
イスラム法の秩序を街中で徹底させるヒスバによるパトロールも続けられています。
しつこいですが、イスラム国の人たちというのは、自分たちこそ最も正しく神の命令に従い神の法を適用していると信じている人々です。
彼らは、胡散臭いペテン師が自らの利益のためにあの手この手で弱者を洗脳して集めた集団ではありません。
彼らのよすがは神の言葉であるコーランです。
そして彼らの目的はイスラム法による統治を世界中に拡大させることであり、その目的のために死ぬことは殉教であるとして全く厭いません。
なぜならイスラム教では、殉教者には天国、来世での救済が約束されているからです。
私たちの基準、私たちの価値観で彼らの考え、生き方を測っても、無意味なのです。
現在、SDFによって包囲され、間も無く陥落するであろうバーグーズの中にいるイスラム国戦闘員たちの言に耳を傾けることは、これから私たちがこうした人々とどう対峙していくべきかを考える上で非常に重要だと私は考えます。
アメリカに支援されているシリアのクルド人を中心とする武装組織SDFに包囲されて以来、バーグーズからは多くのイスラム国戦闘員やその家族らが投降してきました。
彼らが拘留されているキャンプには世界各国から多くのメディアが取材に訪れ、15歳の時に自らイスラム国入り「イスラム国花嫁」となったイギリス人シャミーマをはじめとする、多くの「イスラム国花嫁」やその子供たちが「発見」され、報道されました。
メディアはまた、「イスラム国花嫁」のほとんどがイスラム国入りしたことを後悔したり反省したりしていないばかりか、「イスラム国は永遠なり!」「アッラーフアクバル(神は偉大なり)!」と叫んだり、「イスラム国こそ私たちの居場所。カリフ様が出て行くように言わなければ留まりたかった」と主張したりすることを、驚きをもって報道しています。
「イスラム国に行く人は洗脳されているに違いない」としか考えられない日本や西側諸国のメディアの人たちは、こうした女性たちを目の当たりにしてなお、「戦争や殺戮や飢えなど大変な目にあってきただろうに…いやー、洗脳って本当に強力」と、洗脳説から脱却できないようです。
しかし何をもって洗脳とするかについて議論しても不毛なのでしませんが、彼女らはイスラム国こそ真に正しいイスラム教の実践者なのだと信じているのです。
拙著『イスラム教の論理』にも記したように、伝統的なイスラム教の枠組み内では「イスラム国のイスラム教解釈は間違っている」と主張することはできても、それは「イスラム国のイスラム教解釈は正しい」という主張と同程度の価値しか有しません。
どのイスラム教解釈が正しいかを判断することができる人も組織も制度も、伝統的なイスラム教の枠組み内には存在しないのです。
話をシリアに戻しますが昨日、陥落間近のバーグーズの内部映像をイスラム国が公開しました。
コーラン章句を朗々と暗誦するこの戦闘員は、「なぜわずかな領土しか持たない我々を殲滅しようと世界中の不信仰国家がここにやって来て、そして我々を包囲するのか?それは我々が神の法の適用を意図したからだ!」と主張します。
世界のどこにもコーラン、神の法に基づいて統治を行う集団は我々イスラム国をおいて他にはない、そして我々は殺されたとしてもそれが勝利なのだ、と得意満面です。
彼は、自分たちは「この世(現世)の基準」ではなく「 あの世(来世)の基準」即ち、「神の基準」で生きているのだと強調します。
そして「この世の基準」では我々が殺され、焼かれたとしたら、それは我々の敗北だとみなされるだろうが、「神の基準」では我々は天国に迎えられるのであり、それは勝利なのである、とコーランを引用しつつ説明します。
全ては神の手中にあるので我々は忍耐する、この世で我々の道が閉ざされ包囲されても神への道は開かれている、勝利は神と神の使徒ムハンマドを愛する者の手に約束されている、勝利は近い、と訴えます。
このシャイフ風の人も、「我々は神の法(シャリーア)による統治を行っているからこそ攻撃されているのだ」「いくらここで我々の領土が狭まろうと神の勝利は近い」と主張します。
この覆面戦闘員も、「我々はこの戦闘で敗北しても勝利する。もちろん勝利しても勝利である。だから恐れるな。飢えや欠乏を祝福せよ。神は信仰者に勝利をもたらす」と呼びかけます。
バーグーズ内部は車やバイクが行き交い、ベビーカーを押す女性や子供の姿も見られます。
イスラム法の秩序を街中で徹底させるヒスバによるパトロールも続けられています。
しつこいですが、イスラム国の人たちというのは、自分たちこそ最も正しく神の命令に従い神の法を適用していると信じている人々です。
彼らは、胡散臭いペテン師が自らの利益のためにあの手この手で弱者を洗脳して集めた集団ではありません。
彼らのよすがは神の言葉であるコーランです。
そして彼らの目的はイスラム法による統治を世界中に拡大させることであり、その目的のために死ぬことは殉教であるとして全く厭いません。
なぜならイスラム教では、殉教者には天国、来世での救済が約束されているからです。
私たちの基準、私たちの価値観で彼らの考え、生き方を測っても、無意味なのです。
現在、SDFによって包囲され、間も無く陥落するであろうバーグーズの中にいるイスラム国戦闘員たちの言に耳を傾けることは、これから私たちがこうした人々とどう対峙していくべきかを考える上で非常に重要だと私は考えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿