2019年1月25日金曜日

カナダ人医師のソマリアでのジハード

イスラム国ソマリ州がソマリアでジハードをし殉教した戦士たちを紹介する動画を公開しました。

その中の一人にドクター・マジャルテイニーと称されるカナダ人医師がいます。


イスラム国はジハードの一環として医療を重視しており、かつてイスラム国入りしたオーストラリア人医師がいることなども知られています。

同動画のナレーションはドクター・マジャルテイニーについて、カナダからヒジュラ(移住、聖遷)してきてソマリアで殉教したと説明しています。

生前のドクターの映像が残されています。


首から聴診器をかけイスラム国の旗と銃をバックにしたドクターは完璧な英語で、不正なるソマリア政府に見捨てられた貧しい人々に無料で医療行為を施してきたと語ります。


治療した人々のほとんどが、病気に侵されているだけでなくひどい栄養失調状態にあったそうです。

神のおかげで、外科手術や歯科治療を必要とする人、赤ちゃんや妊婦などなど様々な人々を助けることができたと語った後で、ドクターは次のように続けます。

「イスラム国の外にいる兄弟姉妹たちよ、特に医師たちよ、我々はあなた方の助けを必要としている。神があなた方に対し『おまえたちは宗教とイスラム共同体に何を提供したか』と尋ねる日に、あなた方は何と回答するつもりだろうか?あなた方は不信仰者たちと背教者たちが昼夜を問わずイスラム教徒たちを爆撃しているのを見聞きしているはずではないか。あなた方に忠告しよう。ジハードに赴くのだ。そして天国の最も高き場所を予約するのだ。急いで乗り物に乗りたまえ。」

ソマリアのイスラム過激派組織といえばシャバーブがよく知られており、先日も隣国ケニアの首都ナイロビで高級ホテルの入った複合施設を襲撃するという大規模テロを実行しました。

しかし当該ビデオで紹介されているように、ソマリアにはイスラム国もいます。

ソマリアでイスラム国が旗揚げをしたのは2015年10月のことであり、シャバーブとの間で小競り合いが続いてきましたが、昨年末ついにシャバーブがイスラム国に対して正式に宣戦布告する動画を公開しました。

この中でシャバーブはイスラム国のことを「ジハード戦士たちを分裂させ弱体化させる病気」と非難し、これを根絶やしにしなければならないと主張しています。

ソマリアのイスラム過激派組織とはいっても、シャバーブがしばしばケニアを襲撃するようにその活動は決してローカルなものではありません。

またソマリアのイスラム過激派組織に参加する戦闘員も、当該動画で紹介されたカナダ人医師のように「グローバル化」しています。

アメリカ司法当局は先週、イスラム国に資金提供をしていた容疑などでミシガン州に住む3人のケニア出身イスラム教徒を逮捕したと発表しました。

うち1人は、ソマリアのイスラム国に参加するため出国しようとしたところを空港で逮捕されたとのことです。

イスラム国入りしようとする外国人戦闘員は、かつてはこぞってシリアそしてイラク入りを目指しました。

ところがシリアへのルートとなってきたトルコが国境警備を厳しくし、さらにイスラム国がシリアのラッカとイラクのモスルという二大拠点を失ったのに伴い、彼らはジハードの地を他に求めるようになりました。

そもそもジハード希望者がシリアやイラクを目指す必然性というのは特にはありません。

彼らはイスラム法によって統治された地に赴き(ヒジュラ)、そこで仲間とともにイスラム教の敵と戦うジハードに身を投じることを目的としているので、シリアやイラク入りすること自体が難しくなった今、行き先を変更するのは必然的ですし、イスラム国当局もそれを勧めています。

今、特に多くの外国人戦闘員が集結しつつある国のひとつとして挙げられるのが、フィリピンやリビアと並んでソマリアであり、米軍も対テロ戦争の一環としてソマリアでの空爆作戦を強化しています。

ソマリアは今や、世界のジハードの最前線のひとつなのです。

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